愛をください
ずっと願っていた。神楽の唇を陵の指がゆっくりと撫でる。
「はぁ、せんぱい」
ふわりと暖かいものが触れる。
それに驚いた神楽は目を見開いて陵を見れば、目を細めて笑っていた。
ぞくぞくと震えが身体を突き抜ける。
あまりに驚いた神楽は唇を離そうとするけれど、逃がさないとばかりに陵のくちづけが更に深まる。
「ふ、んぁぁ……」
息が上がる。
苦しくて唇を少し開けば、容赦なく陵の舌が中へと入り込んできた。
舌で翻弄され続けて次第に力が抜けてしまった。
「まだこれからだぞ?」
そう囁かれて火をふきそうなくらいに熱くなる。
指が肌の上を滑る。
「んっ」
「神楽」
陵が上着を脱ぎ、上半身を晒しだす。今から肌を重ね合う、それを意識したら急に恥ずかしくなって敏感な箇所を手で覆い隠す。
「暴いちゃ、いや」
「本当に?」
だが、陵の視線が、唇が、見えないように隠した箇所をひとつずつ暴いていく。
口筋に、鎖骨へと優しく口づけながら乳首を弄る。
「んっ」
いつも以上に敏感で、すぐにぷっくりとふくれてかたくなる。
「もう、こんなになって」
両方の乳首をつままれ動かされる。
「や、あぁぁ……」
「うまそう」
舌の先で突起した先をチロチロと舐めた後に口に含んで吸われて、なんともいえぬ快感にたまらず胸を張る。
気持ちいいけれどもどかしい。
たちあがったモノからは蜜が流れ、まるで触れて欲しいとばかりに揺れる。
「はは、いやらしいなぁ、そんなに触ってほしいのか?」
乳首から離れた唇が下へとキスの雨を降らせながら移動する。
「ふ……」
くすぐったさと、陵に見られているという羞恥心とが入り混じ、たちあがった箇所に意識がいってしまう。
それに気が付いたか、神楽のモノへと舌が触れ、見せるように根から先までゆっくりと舐められた。
「ひゃッ、やだ」
陵の視線は神楽に向けられいる。反応を確かめながら緩急をつける。
「嫌だね。こんなに色っぽい姿を見ないなんてことはできない」
舌で弄り、程なくそれを口で咥える。
「あぁ、あぁぁぁっ」
咥えられたモノはあっという間に絶頂を迎えて欲が放たれる。
陵の中にはき出された白濁は飲み下され、唇の端に垂れるそれをぺろりと舌がそれをさらう。その仕草が扇情的で神楽の中でまだ消えぬ欲が膨れ上がる。
それは陵も一緒なのか、ぎゅっと神楽を抱きしめ後ろへと手を伸ばし、
「今度はここを頂戴する」
と指を濡らし後孔へと入り込む。
「ひゃん」
ゆっくりと入り込む指。中を広げるように動きつつ神楽の弱い所を探り、一本から二本へと増やされていく。
そして、ある箇所に触れた途端、身体が飛び跳ねた。
「そこはだめぇ」
やたらとびくびくと反応する神楽に、見つけたとばかりに陵が目を細めて下唇を舐め、そこばかり弄りだす。
「あぁ、いじわる」
目から涙がじわりとにじみでて、頬を伝い落ちていく。
「泣くほど好いか」
神楽は真っ赤になって手で顔を覆い隠す。
そんな神楽の手をのけるように顔を近づけて口づけする。
「可愛い反応だ」
と、神楽の後から指を抜き、陵がズボンを脱いだ。
反り立つ大きなモノに、ごくりの喉が鳴る。
「素直だなぁ」
「だって、ずっと欲しいと思っていたから」
想像以上に本物はすごい。あれが今から自分の中へ入ると思うとたまらない。
「そうか」
神楽の足を掴んで持ち上げて。陵のモノの先端が孔へと触れる。
陵のだとおもうと、期待と緊張で身体が強張ってしまった。
「緊張しているのか?」
「はい。だって、先輩のが」
手で顔を覆い隠し恥ずかしそうに首を振ると、陵の手が頭を撫でる。
「期待外れだったといわれないように頑張らないとな」
後孔に今までに味わったことのない、質量のモノが入り込む。
「く、んぁぁっ」
根元まで入り込んだそれを陵はウットリと見つめている。
「つながった」
嬉しい。陵と一つになれるなんて。
「うん」
泣きそうになる神楽に、そっと頬に指が触れる。
「動くぞ」
と聞かれ、神楽は頷く。
動き始めた途端に、なんともいえぬ快感が襲う。
「あぁ、あぁぁぁっ」
その動きに嬌声があがり身体が善がる。
「神楽の中、やわらかい」
気持ちいいですよ、と。
激しく突き上げながら口づけをする。
「ふぅっ」
激しく揺れる身体に快楽の波が一気に襲う。
口から、下から液を流して善がり嬌声をあげる。
「そろそろ……」
絶頂を迎えそうなのか、陵が神楽の中から抜け出ようとする。
「え、やだ、抜かないで」
陵のものを締め付けて、
「中に欲しい」
と、陵の腕に縋りつく。
「くっ、やばい、可愛いっ」
陵は嬉しそうに笑み、神楽の中へとそそぎこむ。
「――あぁぁっ」
中に陵の放った熱いものを感じ、神楽も達して欲を放つ。
「んぁ」
イった後の気だるさに、ベッドにだらりと横になれば、陵が神楽を抱きよせて腕枕をしてくれた。
しかも、
「後で風呂に入ろうな」
と髪を撫でられ、優しくされることに幸せを感じながら陵に甘えるように顔をよせた。
「まだ夢を見ているような気分です」
まるでジェットコースターのように、一気に上がったり下がったりを繰り返して、終わった後は身体がふらつくけれど気分は爽快で……。
「そうか」
ちゅっと額に唇がふれる。優しいその目は神楽だけに向けられ、頬が火照り胸が弾んだ。
「神楽、これからは俺を頼れ」
誰にも触らせるなと抱きしめられる。
「はい。陵先輩、好きです」
その想いを告げたのは一年前。あの時は結ばれることのなかった。
「俺も、だ」
だが、今、やっと想いは届き、一つに結ばれた。
神楽の生活は変わらない。
相変わらず女神と呼ばれ周りには人が集まる。しかも、この頃は色気がさらに増して、男達を虜にしていた。
生徒会は新体制となり、神楽は副会長に就任した。
春日部とは生徒会室で会うことがなくなり、寮でも食堂で顔をみるくらいだ。
ただの先輩と後輩、二人の関係はそうなってしまったが、神楽は心の中で彼の幸せを願っていた。
そして陵とは……。
「先輩達って無自覚ですよね」
二人で勉強をしていたら、目の前の席に大洋が座る。
「え?」
「何のことだ、佐倉」
「勉強しながらイチャイチャしないでください。皆が集中できません!」
といわれて周りを見れば、皆がサッと視線を外す。どうやら気が付いていないのは本人たちだけのようだ。
そう、二人は晴れて恋人同士となった。
互いにそれを隠そうともしないので、大洋がみかねて言いにきたのだろう。
「すまん」
「いいんです、俺は。神楽先輩が幸せそうに笑っているから」
「タイヨウ~!」
なんていい子なんだと頭を撫でると、隣で陵が拗ねる。
その可愛い反応に、キュンと胸を高鳴らせ、腕へ自分の腕を絡ませた。
目が合って、でれでれとしていたら、
「先輩」
と冷ややかな声が。
こればかりはしょうがない。だって、二人の恋は始まったばかりなのだから。