獣人、恋慕ノ情ヲ抱ク

エメ、先生としようか

 お風呂から上がった後もライナーは普段と変わらずでブラシとタオルを用意して待っていた。
「おいで」
 手招きをしているがエメが躊躇うと、
「意識している?」
 と言われて肩が強張る。
「そりゃ、ね」
「ブラシをするだけだから」
 先ほどのことがあるから警戒して動けずにいると、
「エーメ、ライナー先生はとても寂しいです」
 両手を広げて待ち構えるライナーに胸を打ちぬかれた。可愛すぎる。
「お風呂でのようなことはしないでね」
「あぁ。さ、おいで」
 ゆっくりとそこへと向かい抱きついた。
 撫でるだけ、という言葉は本当だった。もふもふに顔を摺り寄せて頭を撫でる。
「エメが可愛くて、ついつい手を出してしまう」
「お風呂でも言ったけれどさ、俺のことを可愛いっていうのはライナー先生だけだから」
 ギーやルネのような子をいう言葉だろうとライナーの手をつかんだ。
「エメは自分を対象外にしたがるよな」
 それはそうだろう。毛並みも普通だし顔も平凡だ。身長だって獣人の中ではあまり高くない。
 今は毛並みが云々という獣人は減ってはきたが、それでも体格が良く毛並みがいいほうがもてる。
 容姿が良いほうがモテるのは人の子だって同じはずだ。
「エメは魅力的な雄だということを自覚するといい」
 それなのにライナーはそんな言葉を口にする。
「俺にはそんなものはないよ」
 番がいないのが証拠だろうに。どうしてそんなことをいうのか。
「そんなことはない」
「それなら、どうしてライナー先生はお風呂で交尾をしてくれなかったの?」
 つまりはそういうことだ。からかうために触れることはあっても魅力がないから本気でしようとは思わないだろう。
 それを肯定するようにライナーが驚いた表情を浮かべていた。
「エメ、それはだな」
 言い訳をするつもりなのか、そんなことをされたら余計に惨めな気持ちとなりそうだ。
「いいよ、何も言わないで」
 ソファーから立ち上がり、
「今日はギーとルネの所に行くね」
 そう言うと部屋を出ようとしたが、ライナーの手が腕をつかんでエメを引き留める。
「お前はっ! あぁ、もういい。我慢はやめた」
 腕を引かれてバランスが崩れ、体はライナーの腕の中。
「エメ、先生としようか」
 交尾を、と耳元でささやかれた。
「ライナー先生、本気なの」
「するよ。エメ、服を脱ぎなさい」
 ライナーのシャツのボタンが一つ、また一つと外されていく。
 本気なんだと意識したら毛が逆立った。
「エメ」
 気持ちを落ち着かせるように優しく頬や鼻先にキスを、何度も何度もおとしていく。
「ライナー先生」
 高ぶった気持ちは少しずつ落ち着いて力が抜けていった。
「膨らませるのは尻尾ではなく別の場所だろう?」
「もう、そういうこと言わないで」
「はは。耳と尻尾が立ったと思ったら今度はへたりとしているぞ」
 またからかわれた。
「もう、いい加減に」
「しない」
 可愛いなと、今度は唇に口づけて、舌先を甘噛みされた。
 ルクス系の舌は分厚く、噛まれると尻尾が逆立つほどに感じてしまう。
「ふ、せんせぇ」
「君たちはここも性感帯なのだと聞いていたが、本当だな」
 目を細めて舌を、そして手が尻尾へと触れた。
「ひゃぁっ」
 体がのけぞり耳までもが立ち上がる。
 ゆるり、ゆるりと根元を弄られて、噛むのをやめて舌先で弄られた。
「はぅん、それ、だめぇ」
 下半身のモノが反応をしはじめてじくじくとしはじめて、ライナーの手がたちあがった場所に触れてぴくんと体が揺れた。
「ライナー先生のも触ってごらん。エメとおんなじだから」
 と手をつかまれてそこへと触れた。
「あ、本当だ」
 かたくなってたちあがっている。一緒にお風呂に入るときもあるので何度も見たことがあるが、人の子は大事なところの防御があまりにすくなくて大丈夫なのかと思うくらいだった。
「エメにエッチなことをして興奮しているんだ」
 まさかライナーがそんなふうになるとは思わなくて熱が一気に押し寄せた。
「ライナー先生、俺で興奮してくれるの?」
「あぁ。エメがいやらしい顔をしているからだ」
「へ?!」
 自分の顔がどうなっているかはわからない。だが、もしそんな顔をしているとするならすごく恥ずかしい。
「見ないで」
「どうして?」
「俺、ライナー先生に触られると嬉しくてすごく感じちゃうから」
「そうか。それは楽しみだ」
 ライナーの目がエメを射貫く。なんて雄雄しいのだろう。
 キューンと甘えるように声が出てしまう。
「ここで鳴くとか、どんだけ可愛いんだエメは」
 頭を乱暴に撫でた後に顎の下へと手が伸びる。ここは非常に気持ちの良いところだ。
「せんせぇ」
 とろけてしまいそうだ。きっと耳と尻尾がたれているだろう。
「ここでこんなになってしまうなんて、こっちをいじったらどうなるんだろうな」
「ひゃん」
 後孔のあたりを指で押されて体が跳ね上がった。
「せんせい、なにをしているの」
 獣人は人のことは違い、後ろが濡れてすぐにでも入れることができる。そのことをライナーは知っているハズだ。それなのに細いもので中を擦られてもどかしい。
「せんせい、それ、イヤ」
「味わったことがないだろう? 人の子はこうしないと狭くて中へ入れない」
「俺は獣人だからぁ」
「今弄っているからわかっているよ。指が三本すんなりと入っていく」
 ある個所を押されて毛が逆立つ。尻尾も耳も立ち上がったままだろう。
「きゅぅぅぅん」
 そこはたまらなくきもちがよくて甘えた鳴き声が口からもれでた。
「ここが前立腺。男はこれに触れられると気持ち良くて、ここから精子を……」
「せんせいぇ、せーしのお話はまた今度、ね」
 はやく欲しくて尻尾で腕をはたいた。
「わかった」
 孔が広がり中へと指とは比べ物にならない太いものが飲み込まれていく。
「せんせいの、おち……ん」
「ふ、俺のアレを随分と可愛い言い方をするんだなエメは」
 エメが口にしたのを耳元で言い返されて、恥ずかしくて両手で顔を覆う。
「うう、だって」
「昔から可愛かったが、大人になっても変わらないな」
 ぐい、と一気に押し進み、「きゃん」と鳴いた後に体が飛び跳ねた。
 しかも大きくなっているような気がする。
 でもすぐにエメには余裕がなくなった。はじめて中から刺激されて、外もライナーの手が触れてる。
 意識が飛び、喘ぐ声とキモチイイとばかり言っている。
「やっと、俺の……がみたされるよ」
 再び耳元にエメがいった言い方で下半身のことを口のする。
「いじ、わる」
 目が潤むのは気が高ぶっているせいだ。
「まるで気になる子をいじめる子供のようだな」
 親指が眼の縁の涙をぬぐう。
「俺のこと、気になるの?」
「だからこうしているんだ」
 どういうふうに気になるのかを知りたいが聞くのが怖い。
 だからたった二文字を聞けずに欲を吐き出した。

 あれからライナーに胸を痛くなるくらい吸われて、後ろもカタチを覚えるくらいは出し入れされた。
 下半身のものも口の中で可愛がってもらった。あれはすごくよかった。エメもしてあげたかったけれど牙があるから傷つけてしまうから舐めるだけにした。
 未だにライナーのことを体中に感じる。それが嬉しくて尻尾が揺れてベッドを叩いてしまう。
「あ、ライナー先生が起きちゃう」
 静かにしないと。そっとベッドから起きて朝食つくりを始める。それに夢中になっていると、近くにライナーの匂いを感じてそちらへと顔を向ける。
「ライナー先生は寝ていていいんだよ」
 いつもそういうのだが首を横にふるう。
「一緒に食べて見送る……」
 まだ少し眠いのかぽやぽやとしていてなんだか可愛い。
「それじゃ座って待っていてね」
 椅子まで連れて行って座らせると料理の続きをする。そして出来上がった料理を置くころにはライナーの目は覚めていた。
 朝食を食べて出かける準備をしはじめるとライナーが後ろから抱きついてきて鼻を首元にうずめた。
「ちょ、ライナー先生」
 昨日もだけどいきなりされると心臓に悪い。
「うう、ライナー先生、甘えん坊なことをするのは帰った後にしてぇ」
 朝から妙な気分になってしまうから。
「わかった。それじゃ行っておいで」
 何故か朝から濃厚な行ってきますのキスをされてしまった。
「ふぇぇ、朝からこれは駄目だよぉぉぉ」
 今から立ち仕事が待っているというのに。
 ぽすんと力の弱いパンチを胸に一発。そして急いで部屋を出た。