心と体に触れる
リュンを迎えに診療所へ戻るとセドリックの姿があり、どうしてここにいるのかと疑問に思っていたらライナーが連絡を入れたのだという。
「そうだったんですね」
「どうして一人で行った?」
セドリックの表情はかたく、静かな声音に怒りが含まれているのを感じた。
相手は罪人かもしれない。もしも危険なことがあったらと心配しているのだろう。
「セドに話をする前に確認したいことがあったんだ」
確かにその通りだ。だが聞きたかったのだ。バードがどうして悪事に手を染めてしまったかを。
話をして理由を知ることができた。そして止めてほしいと願っていることも。
ブレーズがひとりで聞きにきたから、胸の内を話してくれたのではないかと思っている。
「だから話し合えてよかったと思っているよ」
「そうだとしても、それは自己満足だ!」
「僕は……」
切ない思いがこみあげる。
いくら心配したからと、そんなことを言われるなんて。
「そこまで。リュンはこのまま病院で俺が見ているからふたりは家で話をしなさい」
「……はい。よろしくお願いします」
リュンが心配だが自分よりも医師であるライナーが側にいるほうがいいだろう。
部屋を出るとセドリックが手を握りしめる。見上げると顔が険しくグルルルと低く鳴く音が聞こえた。
「セド、怒ってるよね」
「わかっているなら聞くな」
素っ気ない態度だ。こんなふうにされたことは一度もない。どれだけセドリックが優しかったかを身にしみて感じた。
「ごめん、でも」
「俺がどれだけ心配したか、ブレーズにはわからないだろうな」
大きな体が震えている。どれだけ自分の身を案じてくれていたのだろう。
自分は間違っていた。一人ではなくセドリックに相談してから行くべきだった。
「ごめんね」
強く抱きしめられる。
セドリックに辛い思いをさせてしまった。
「ごめん。セド」
「帰るぞ」
馬に乗せられて後ろからセドリックが手綱を持つ。
はじめて乗るので少し怖かったが、セドリックは何も言わずに馬を走らせた。
歩くよりも何倍も早く家へとたどり着き、馬を降りると木に手綱をしばりつけて家へと連れていかれた。
そして入るや否や顎をつかまれキスをされた。
「むぅ」
荒々しく口の中を動き回る舌に、気持ちよさより苦しさを感じて顔を放そうとするが、後頭部に腕を回して抑え込まれてしまう。
一方的で愛しい雄からのキスなのに嫌で目頭が熱くなり、胸を叩きたてがみをつかんで引っ張ればようやく唇が離れた。
「やだ、こんなキスは」
ぽろりと涙が零れ落ち、それはとまることなく流れていく。
「ブレーズ」
険しかったセドリックの表情がおろおろとしたものにかわり、そして耳がたれて肩をおろして落ち込んだ表情を浮かべた。
「すまん」
「ひどいよ、怒られるようなことをしたのは僕だけれど、セドとするのに、嫌な気持ちを持ちたくないよぉ」
涙でぐちょぐちょの顔をもふもふに押し付ける。
濡れたってかまわないだろう。それくらいのことをしたのだから。
「ブレーズ、俺が悪かったから顔をみせて」
「やだ。こんな顔、見せられない」
「やり直しをさせてほしい」
髪に鼻先が振れ生暖かい息が髪を揺らす。
「きもちいいの、してくれるの?」
「あぁ。させてくれるか」
「そのかわり最後までシて」
その言葉にセドリックが頷き唇が重なり、そして服の下に手を忍ばせると腹を撫で上へと撫でていく。
「ん、せど」
ボタンを外すと、手は胸へと触れていた。
「風呂場で何度か見たな」
「うん。セドの体もね」
セドリックのシャツのボタンも外せば、もふもふな首毛とたくましい体が露になる。
爪で傷つけぬようにと指をまげて乳首を挟んで動かし、もう一方は舌先で弄られる。
「ん、ふ」
痺れるような快感に体が小さく震えた。
「可愛いな、ツンと立ち上がり捏ねればいい声で鳴く」
「ここでも感じれるように、抜くときに弄っていたから」
いつかセドリックとこうなれたらいい、それだけを思い乳首と後ろで感じられるようにしていた。
「それは……見たかった」
真剣な顔で言われて恥ずかしくなってしまった。
「みたってつまらないよ」
「そんなことはないだろう。ブレーズは甘い顔をしていて可愛いのだから」
「ふぇ」
そんなセリフを好きな人から言われたのだ。驚いて息をのみこんで、そして激しくむせた。
「おい、ブレーズ、大丈夫か」
「げほ、だって、セドがっ、かわいいとか」
「可愛いよ。出逢ったころから思っていた」
そうさらりと言われて、あまりの恥ずかしさにベッドに倒れこんで両手で顔を覆い隠した。
「あー、もうっ」
足をじたばたと動かしていると、両足をつかまれて持ち上げられてしまう。その時にズボンも脱がされていてた。
「セド!?」
これでは後ろの孔がセドリックに丸見えだ。
「や、セドっ」
「人の子はこうなっているのだな。毛が薄いと聞いていたが本当だ」
ぺろりと後ろを舐め、まだかたい蕾を開いて中へとはいりこもうとする。
「そんなところに舌を入れちゃ、だめ」
「ふ、俺の指では爪で傷をつけてしまうからな。舌なら問題ない」
舌先が入りぬめぬめとうごめく。
「セド」
手を差し入れて舌を拒むと、鼻先で手の甲を突いた。
「ブレーズ、手が邪魔だぞ」
どけなさいと今度は裏を舐められた「ひゃん」と声をあげる。
「ふ、我慢比べと行こうか」
手をどけるまでここを舐める、そういわんばかりに裏を舐め上げて先っぽを弄られた。
「ん、ずるいっ」
ここを舐められたら弱いのはセドリックも同じ。だから攻めたてられる。
「せど、舌は、ここにほしい」
唇をうっすらと開いて舌を出すと、ブレーズのモノを舐めていた舌が絡み合う。苦く変な味がするのにまるで媚薬のように体を燃え上がらせる。
「はぁ、せど……」
キスをしながら中へと受け入れる準備をはじめる。
まずは指を一本。セドリックの唾液で濡れていたのもあり、狭いながらもどうにか受けれられた。
「ブレーズ、入れたい」
舌を。
抜こうとする舌を逃がさぬように絡ませ、中にもう一本指を増やした。
「セド、待っていられない子にはお仕置きだよ」
と唇を放し、立ち上がっている下半身のモノへ舌を這わせた。
「く、どう、お仕置き、されるんだ?」
「こう、かな」
セドリックのズボンに手を伸ばして脱がせると毛におおわれたモノが露になる。
それをはじめて見た時はやはり人の子とは違うのだと思ったけれど、何度か一緒にお風呂に入っているのでそれも見慣れた。
雄をむきだしにするため、ちろちろと厭らしく先っぽを舐めると頭がひょっこりとあらわれた。
「先ほどの、仕返しか?」
ふ、と、口角をあげるセドリックに、目を弓型にし微笑む。
「うん。仕返し」
全体が露になったところでそれを口に咥えてしゃぶりはじめれば、下半身のモノのように耳と尻尾が立ち上がった。
「これは……」
はぁ、と低音で色っぽい声がもれた。
後ろをいじりながらセドリックのモノを口で咥え、上から下からとくちゅくちゅといやらしい音がする。
「ふ、ブレーズ、人の子の口はすごいな」
気持ちよさそうにゴロゴロと喉がなり始めた。
後ろの指も三本になり、あと一本増やさないとセドリックのモノは受け入れられないだろうともう一つ増やす。
「ん、ふっ」
セドリックから発せられる雄の濃い匂いと後ろの弄る指に体が高揚する。
「ブレーズ」
孔をふさいでいる指の手。その甲をぺろぺろと舐めて、はやくそこへ入りたいと切なく口にした。
咥えていた口を放し、後ろをほぐしていた指を抜きとる。そしてセドリックの上へとまたがると広がった後ろ孔へと入れた。
「く、んっ」
まだ少しきつかったかもしれない。だがゆっくりと腰を下ろせば深いところまで入り込んだ。
「はぁ、セドの、入ったよ」
「そうだな。やっとお前を頂ける」
と下から突き上げられた。
「んんぁ、やぁ、ん」
指とは断然比べ物にならぬ、熱くそしてかたいその存在。
一度目はすぐにイってしまい、だが、それだけでは互いに足りずに二度、三度と繰り返す。
途中から頭が真っ白になり、もう何度目かなんて考えられなくなっていた。そして意識が朦朧とし落ちてしまった。
朝、後ろに違和感を感じて起きようとしたらセドの腕と後ろの孔がふさがれていた。
「え、ちょ、セドっ」
まさか入れたままだとは思わなかった。
「ブレーズが、中のを出したくないっていうからふさいでいた」
たくさん注がれて、あふれるたびに寂しくて。そんなことを言った気が……する。
「え、や、うごかないで」
いまだ敏感な中は少し動いただけで感じてしまう。
「ブレーズ、あんなにしたのに元気だなぁ」
「あぁ、僕の、ばかぁ」
たちあがったものをブレーズが指でぐりぐりと動かした。
「ちょ、だめぇ」
これ以上は我慢できなくなる。だからここで止めないといけない。
「俺も昨日はやりすぎたかなーって思ったけど、元気だわ」
それは嫌というほど後ろで感じている。あきらかに大きくなっているのだから。
「ダメ。リュンのところに行くんでしょ」
抜いてともう一度言うと、しぶしぶと後ろからセドリックのモノが抜けた。
「そうだよな。俺たちのかわいい子を迎えに行かないと。よし、体を洗いに行こう!」
そう言うとセドリックがブレーズの体を抱き上げた。
「え、一緒に入るの!?」
湯舟はふたりで入るときついが体を洗うのは三人でも大丈夫だった。
「もちろん。洗ってくれるだろう?」
「いいけど、洗う以外はしないからね」
そうきっぱりと言うと、お気に召さなかったか眉間にしわができていた。
「……いくぞ」
お風呂の残り湯は冷めてしまっているが水よりも多少は温かい。
何をしていたかわかってしまうので体を洗うために使うだけなのでこれで十分だろう。
「ねぇ、セド、リュンが記憶を取り戻して、辛くて自分の中に閉じこもってしまっていたらどうしよう」
今までは記憶を少し取り戻しても気を失い忘れていたが、今回はそうはいかないだろう。
「大丈夫、またはじめからやればいいだけだ。愛情をいっぱいお注ぎ込んで可愛い笑顔を取り戻す。手をかしてくれるだろう?」
「うん」
ぎゅっとセドリックを抱きしめると、スンスンと匂いを嗅ぎ始めた。
「俺の匂い、まだあるな」
べろりと首を舐められて背中がぞくぞくと震えた。
「セド、ダメ」
「匂い、なくしたくないな」
じっとセドリックがこちらを見ている。
「僕もそうしたいけれど、皆に知られるよ」
ふたりでした行為はリュンに教えるには早い。ゆえにセドリックから離れて体を洗い始めた。
体に残る噛み痕と、しつこく舐められてぷっくりと膨れて真っ赤に染まる個所、中に注がれたものをだすのに指を入れてかきだしている途中、熟れた個所に指がこすれて甘く声をあげてしまい、あわてて口を押えた。
「あー、えっろ。これって生殺しだよなぁ」
湯舟がばちゃばちゃと音を立てる。浴槽のふちに腰を下ろしているため尻尾が水面を叩いているのだ。
「僕の体力はリュンのお迎え分しかありません」
そう口にするが、後ろにはまだセドリックのものが入っているような感触が残り、胸や体は少し触れただけで感じてしまう。愛しい男と触れあってつながりあう喜びを知ってしまったのだから。
胸がきゅっとして、我慢できなくなって唇だけつなぎ合わせて離れた。
「ふ、グッときた」
そうセドリックが口角を上げ、そしてじゅるじゅると音をたて唇をむさぼられた。
先ほど止めたせいか互いに熱が残ったままで、キスがきっかけで止められなくなる。
後ろも本当は寂しかったのだ。セドリックのが抜けてしまったのが。
中に再び熱くて大きなものを感じて小さく震えた。
「ブレーズ……だ」
セドリックのつぶやきが自分が今一番欲しいセリフとして聞こえ、甘く声を上げる。
「ぼくもだよ」
熱に浮かされ思考がとろけてセドリックのことしか考えられなくなり、結局、リュンのお迎えはお昼近くとなってしまった。