マッサージ
家に帰ってきた。
まだ住んで間もないのにその姿を見てホッとした。
「ドニ、食事と風呂を用意する。それまで休んでいるといい」
体が重怠くて腰が痛い。ベッドの上に横になりたいと思っていたのでその言葉に甘えることにした。
自分の部屋へとむかい、大切なピアスを机の上に置くと、ベッドに倒れこむように横なる。
すぐに眠気が襲い夢の中へと落ちた。
体を揺さぶられて目を開けるとゾフィードの顔が近くにある。
「俺、どれだけ寝ていたの?」
「二時間ぐらいだ。起きれるか。食事を用意したのだが」
「うん、起きる……、うっ」
体を起こそうとしたら筋肉痛でそのまま動きが止まる。
「痛むのか?」
「うん、行きは疲れはしたけど平気だったのになぁ」
「疲れがたまっていたのだろう。どれ、うつぶせになれ」
どうにか体をうつぶせにするとベッドがギシっと音を立てる。
するとゾフィードの手が腰のあたりに触れた。
「え、ゾフィード!?」
まさかと、ドニの脳裏に浮かんだのはエッチなことだ。
ドニとゾフィードは恋人同士であり番になるのだからそっち方面のことを思ってしまうわけだ。
だが、さすがに無理だなと断ろうとすると、
「マッサージをする」
と親指がドニのツボを押さえた。
「ふにやぁっ」
気持ちがいい。
痛いところにどんぴしゃりで、しかも押し方が絶妙だ。
「ん、どうやらいいところにあたったようだな。よし、ここはどうだ」
「はう、そこも、イイ」
押されるたびに体が感じて震える。吐息にまじり甘く声がもれる。
「ふぁ、ゾフィード、お尻のところ、もっとシて」
ゾフィードの手がお尻のツボを押し、それがまた気持ちがよくてとろけてしまいそうだ。
「どうだ、イイか?」
「うん、気持ちいい……」
「よし、次はあおむけな」
体をひっくり返されて太ももの付け根あたりを押す。
「ひゃ、まって、そこはっ」
そこも気持ちいいけれど、ゾフィードを意識してしまい下半身のモノが反応してしまう。
「なんだ、たってしまったのか」
と指がドニのモノを弾いた。
「あっ」
「ここも、マッサージが必要のようだな」
口角をあげるゾフィードに、ドニは真っ赤になる頬を隠すように手で顔を覆った。
痛む体を和らげるためにマッサージをしてくれたはずなのに、結局、体は重怠い。
さすがにゾフィード大好き♡なドニでも切れた。
「ゾフィード、前はこんなじゃなかったよね」
「すまん。恋愛に慣れていないからな。どうもドニを前にするとタガがはずれてしまうようだ」
「うっ、なにそれっ」
それはドニが好きだから暴走してしまう、そういいたいのだろうか。
「ずるい!」
そんなことを言われたら怒れなくなる。
「本当のことだ」
そう鼻先をくっつけられて、ドニは悔しくてゾフィードの耳の後ろを指でかく。ルルス系獣人の弱点だ。
「ドニっ、く……」
ゴロゴロと喉の奥が鳴りはじめて、ドニはしたり顔をする。
「ドニ」
「ふふ、ゾフィード可愛い」
出会った頃は爪を立てて歯をむき出しにされたが、もうそんなことはされない。
「こら、そういうことをするやつにはお仕置きだぞ?」
と鞭を打つようなジェスチャーをする。
「えぇ、ふくらはぎを叩かれるのはやだなぁ。お尻の方にして」
叩かれた瞬間にゾフィードの放ったのがでちゃうかもと言いながらお尻を向けて後を広げて見せる。
「いうなっ! そういうところが変態なんだ」
とお尻を軽くたたかれて「あん♡」とちいさく声を上げた。