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意地悪な彼氏様 1

 昼休み、一人になってしまう木邑君の事を真一からお願いされ、俺は二年の教室へと向かう。
「木邑君、おはなししませんか?」
 と誘えば、嬉しそうに話にのってくれて、屋上に向かい、フェンスに寄りかかり話をする。
「実はね、真一から木邑君の事を頼まれたんだ」
 木邑君はとっても良い子なのに、周りが彼を嫉んで変な噂をする。だからそんな幼馴染の事が放っておけないのだろうな。
「そうだったんですか。加勢先輩までに迷惑をかけてしまってすみません」
「迷惑だなんて思ってないよ。木邑君とはゆっくりお話をしたかったしね」
 だから気にしないでねと、俺は木邑君の手を握りしめれば、一瞬驚いた後にふわりと笑みを浮かべる。
 可愛い。
 俺の顔、絶対に緩んじゃっているだろうな。
 そうだ、折角ふたりきりなんだし、と、前から思っていた事を口にする。
「ねぇ、木邑君の事、優君て呼んでいいかな?」
「はい! じゃぁ、俺は樹先輩って呼ばせて頂きますね」
「うん」
 優君といるとほわほわとあったかくなって、すごく癒される。
「俺ね、優君と一緒にいると癒されるんだよね」
「本当ですか! 俺も樹先輩と一緒にいると癒されます!!」
 同じことを思っていた事がすごく嬉しくて、更に腕をぎゅっと握りしめた。
 その時。急に寒気を感じて恐々と入口の方を向けば、そこには腕を組み冷たい目をして俺たちを見下ろす真一の姿がある。
「あ……、真一」
「浮気か?」
 なぁ、と握りしめあう手を指さして、縮あがりそうなほど、それは怖い、怖い笑みを浮かべた。
「ひぃっ」
 悲鳴を上げて俺は優君に抱きつき、彼は背に腕を回してきて。その身は互いに震えていた。
「ほう、彼氏様の前で堂々としてるな、樹」
 細めた目が俺を射抜き、俺はさらに震えあがる。
「だ、だって、真一が怖いんだもの」
 そう言うと、はぁとわざとらしく大きなため息をつかれる。
「だから貴方はビビりだって言うんですよ、先輩」
 俺の手を掴み、優君から引き離した。
「あっ」
 真一の腕の中へと抱きしめられる俺。そして、
「優、久遠が教室に戻っている」
 優君には教室に行けと、有無も言わさず顔をする。
「あ、うん。わかった」
 いそいそと出入り口へと向かおうとする優君に、
「俺も教室に戻ろうかな」
 一緒に連れて行ってと目で訴えるが、真一は俺を抱きしめたまま離してはくれず、無言で優君を見る。
 早く行けと、そう言っているに違いない。
「じゃぁ、先輩、また今度」
 そう言うと、優君は申し訳なさそうに屋上から居なくなった。
「そんなぁ」
 優君、酷いよ。
 でも、逃げ出したくなる気持ちは解るから責められない。
「折角、二人きりになれたのに、そんな顔すんなよ」
 ぐいと顎を掴まれて口づけをされる。
「んっ」
 息が上がるほど激しくキスされ、熱があがる。
 ぐったりとする身を真一は抱きしめながら、
「そう言えば、試験が終わったら覚悟しておけと言っておいたよな」
 あの日の事を言われてドキッとする
「なんで、いきなりそんな話をするの?」
 だって真一は優君と俺が仲良くしていた事に腹をたてていたんだよね? だからそれは今は関係ないんじゃ……。
「そういう事で、お前、お仕置きな」
 え、お仕置きって、まさか、ここで!?
 流石の俺でも真一が何が言いたいのかに気が付いて、あっという間にコンクリートの床の上へと組み敷かれ、服の中へと入り込んだ手が肌を撫でる。
「しんいち、待って」
 その手を掴んで止めようとするが、指で乳首を摘ままれて、ビクッと身体が飛び跳ねた。
「ひぅ」
「感じたか」
 シャツを捲られて上半身を晒さる。
 真一を見上げれば、目を弓なり細めて俺のある一か所を見つめていて、それがすごくいやらしい。
「ずいぶん可愛い色してんのな」
 くにっと指で押されて、痺れるような感覚が襲う。
「ん、ぁっ、しんいち、やめて、あ、あぁっ」
 もう片方を口に含み吸い上げられて、舌で弄られて濡れた箇所は、ほんのりと赤く染まりはじめる。
「ほら、見ろよ。熟してきた」
 そういわれて思わず視線をそこへと向ければ、にぃと口角を上げた真一が、見せつけるように舌先でちろちろと動かす。
 突起して更に感じやすくなった箇所に、感覚はマヒし、頭の中は霞がかかったかのようにぼんやりとしはじめる。
「はぁ……、ん」
 真一の舌をもっと感じたくて胸を反らす。
「気持ちイイのか?」
「うん。また、吸って」
 さっきみたく口に含んで吸い上げて、指で摘まんでぐりぐりと弄ってほしい。
「照れ屋なのか、大胆なんだか……」
「ふぇ?」
「何でもない。じゃ、お望み通りに」
 頂きますと突起した乳首に食らいつく。
「ひゃあぁ、ん」
 もっと強い刺激も欲しい。もぞもぞと足を動かせば、太腿に真一の手が触れる。
「あぁ、あ」
「ここはまだ駄目」
 ズボンの上から指が下半身のふくらみをぐりっと押して、ビクッと身体が反応する。
「やぁ、そこもぉ」
「だめ」
 強く乳首を吸われ、痛さにのけ反る。
 弄りすぎて痛みを伴う真っ赤な粒。真一の責めは予鈴がなるまで続けられた。