小さな食堂

結ばれる

 利久の手が貧弱な体をなでる。
「僕も鍛えておけばよかったよ」
 利久の体は細いが筋肉もあるし綺麗だ。
「綺麗ですよ。白くて滑らかです」
 きっと何を言っても利久はそう答えるだろう。それが惚れたなんたるかというやつか。
「ん、ここは感じないよ?」
 片方を摘まみ、もう片方を吸う。女の子じゃないんだからと利久の頬を摘まんだ。
「弄っているうちに感じるようになりますよ。頑張りましょう」
「ちょっとぉ、僕の乳首だと思ってっ」
 やめさせようとするが利久は止まらない。舌先でころがされたり爪でかりかりと弄られたりとしているうちに体の芯がしびれるような感覚が。
 それに体が跳ねて反応し、利久が目を細めて笑う。
「ほら、感じたでしょう? 乳首、かたくなってますよ」
 ちゅーと音を立てて吸われて胸が張る。
「んっ、利久君、そこばかり、やだ」
 ぷっくりと膨れたそれを見ると恥ずかしく、利久の両頬へと手を伸ばして押した。
「らめ、ですか?」
 お魚のような顔になった利久に、めっと軽くにらむ。
「おじさんのお胸ばかり弄ってないで」
 乳首を弄られて下半身が反応している。触れてほしいと蜜までたらしていた。
「こっちが君を欲しがっているから」
 随分と甘えた声がでるものだ。萎えないと良いけれどと思いながら利久を見れば、ギンギンにそり立つモノが目に入る。
「すごいねぇ、利久君の」
「河北さんの体を見て触ってこうなりました。だって、好きで好きでたまらない人としているのですから」
 何故か得意げな表情を浮かべていて、こうなるのはあたりまえと言われているような気がしてしまう。
 その気持ちはわかる。自分だってそうなのだから。
「うん、僕も利久君の体を見て興奮したよ」
「嬉しいです。河北さんに興奮してもらえて」
 うっすらと汗ばんで色気立つ姿はたまらない。
「男は無理だと言われたらどうしようかと」
「無理じゃないからこうなっているんだよ?」
 そり立つモノを指させば、そうですねと利久が小さく笑う。
「また、ここに触れられると思うと、気持ちが高ぶっています」
「うん、素直な息子が教えてくれてるよ」
「そうですね。お互いに河北さんに対して堪え性がないですから」
 自分のモノを見た後に河北へと視線を向けて口角を上げる。
 河北のことをどれだけキュンとさせるつもりなのか。
「もう、利久君ってば、話している内容はアレだけど、仕草はカッコいいからずるい」
 両手で顔を覆い、右左へと体を動かす。
「そうですか? 河北さんはずっと可愛いですよ」
 利久にとってはそうだろう。実際はおっさんがじたばたとしているだけだ。
 だけど嬉しい。利久にはそう思われていたいから。
「それなら、可愛い僕のお願いを聞いてくれるよね?」
「はい。何なりと」
「下も触って」
 そういうと足を開いて見せた。
「あぁ……」
 利久が額に手を当ててうつむく。流石にこれはやりすぎたか。足を閉じようとすると利久の手がそれを止める。
「エロいですね、河北さん」
「え、そうかな」
 サービスのつもりでやったことなのだが、利久の息が荒くなっている気がする。
「舐めつくしていい、そういうことですよね」
「うん?」
 舐めつくすとはどうするつもりだ。
 利久が足を掴み、関節から太腿に向けて舌が動く。
「利久君」
「河北さんのここ、もっと大きくなりますよ」
 と付け根や丸い部分へと触れた。
「り、やっ」
 じわりと感じるように、けしてあの箇所へと触れることなくまわりからせめたてる。
「触ってっていったけど、じれったいのは嫌だよぅ」
 後ろの覚悟だってできているのに、利久が意地悪をする。
 じわりと目じりに涙が浮かび、利久を足で挟んだ。
「河北さん」
 顔を上げた利久が河北の目に浮かぶ涙に気が付いて慌て始める。
「すみません、嫌でしたか?」
「嫌じゃないっ。でも、僕は、はやく君が欲しい」
「あぁ、たまらない」
 拗ねるおっさんのどこがたまらないのか。このやろうと足で利久を軽く蹴った。
「わかりました。河北さんのここ、頂きますね」
 そういうと利久に後孔を押された。
「うっ」
 覚悟が少し薄れそうになり、河北は身を奮い立たせる。
「さぁ、利久君、きなさい!」
「ふ、河北さん、男らしいですね」
 アメニティのローションを手に取り後ろへとたらす。その冷たさと、指が入り込んだ時に声を上げた。
「ふぁぁ、指、変な感じだね」
 入れるのには慣れていない場所ゆえに気持ちよさよりも不快感がある。
「慣れてくれば良くなりますよ」
 と利久の指がさらに奥へ。ある箇所へと触れた時に今までにない感覚が襲った。
「ひゃぁん」
「ここが、いいようですね」
 もう一度その箇所に触れられて、あまりの快感に体が跳ねた。
「利久君、そこ」
「はい。河北さん気持ちいいんですよね」
 くにくにと指が動いてそのたびに体が跳ねる。
 たまらなくて腰が揺らぎもっと深くまで触ってほしいと願ってしまう。
「はぁ、きもちい……」
「河北さん、とろとろですね」
 指がさらに増え、もう気持ちよさで頭の中がぼーとする。
 だがそれも動きがとまり指が引き抜かれてしまった。
「あ」
「次は俺のを気持ちよくしてくださいね」
 ぼんやりとする意識の中、大きくなった利久のものが目に入る。
 指であれだけ気持ちが良かったのだ。利久のが入ったらどうなってしまうのだろう。
「りくくんの、ちょうだい」
 後孔が欲しがってひくひくとしている。
「はい。奥までしゃぶってくださいね」
 だが指とは比べ物にならぬ質量に夢心地であった脳が一気に覚醒した。
「ひゃぁぁっ」
 苦しい。そして熱い。
 指では届かなかった場所まで入り込んだモノに、まるで雷に打たれたかのように全身がしびれた。
「あ、あっ」
「河北さん、ひとつになれましたね」
「ふ、あ」
 利久の目に涙が浮かんでいる。
「俺、嬉しくて、どうにかなりそう」
 利久はずっと望んでいた。河北と恋人になることを。
「利久くん、なかないで」
 利久の思いが伝わってきて河北の目頭も熱くなる。
「ずっと、ひとつになりたかった」
「うん」
「だから、今、こうして繋がりあえたのが夢のようで」
「利久君、長い間、思い続けてくれてありがとうね」
「はい……」
 利久がゆっくりと動き始める。気持ちまでも繋がりあって心と体が満たされていった。

 利久のモノはまだまだ元気だ。
「お口でしてあげるね」
 と利久のおおきなモノを咥えた。
 慣れていないので上手くはできないが、今、河北が出来る限りで利久を気持ちよくさせたい。
「きもち、いいかな?」
「はい」
 舌を動かし、時にちゅっと音を立てながら吸い上げる。
 利久のモノが膨れ触れると敏感に震えた。
「可愛いなぁ、先っぽを弄るとふるふるってするね」
「そこ、弱いみたいです」
 利久は先っぽが感じるのか。それならとしつこくそこを舌先で弄る。
「ふ、河北さん、もう、でるので」
 口の中に出すのを躊躇う利久に、大丈夫だからとやり続けた。
「んっ」
 とろとろな表情を浮かべる利久が可愛い。イかせてあげたくて吸い上げれば、我慢できなかった口の中へと放った。
 苦く変な味が口の中に広がり、それを掌に吐き出した。
「ごめんね。飲むのは無理だった」
「当たり前ですよ」
 ティッシュをとり掌を拭いてくれる。利久は河北のを嬉しそうな顔をして飲んだくせに。
「利久君は僕に甘いよね」
「はい。河北さん限定で、ですよ」
 そういうと河北にキスをする。利久の痕跡を消すように舌が口内に残ったモノを拭うように動く。
「ん、りくくん、そこまで、しなくて、いい」
「苦みより、甘いほうがいいでしょう?」
 しつこく絡めとられて唇が離れる。口内には甘い痺れが残りとろりとした気持ちのまま利久の胸へと額をくっつけた。
「りくくん、僕、疲れちゃった」
「わかりました。それでは俺の腕をどうぞ」
 腕枕をしてくれるという利久に遠慮なく頭を預けた。
「河北さん、大丈夫ですか?」
「うん、おしりはまだへんな感じだけど」
 利久の手がおしりに触れて優しく撫でる。
「労わっているの?」
「はい。俺のを受け入れてくれてありがとうございます」
 少し怪しい動きをはじめたので手の甲を抓ったら離れた。
「利久君、今日はおしまい。後で一緒にお風呂に入ろうね」
「ぜひ!」
 今、見えない耳が立った気がする。
「どうしてだろう、恋人とお風呂に入るのって特別な気分になるよね」
 互いの裸を見せあったというのに、風呂では別の色気を感じたりする。
「濡れて頬が火照るから、でしょうか」
「確かにあれはいやらしい気持ちになるかも」
 向き合いながら肌に触れ浴びるシャワー。そんな妄想をしている自分に照れて頬が熱くなる。
「河北さん、何か想像しました?」
「やだなぁ、してないよ」
 鋭いなと思いつつ、きっと顔が赤いからそれを見せないように利久に背を向けた。
 すると利久が後ろから抱きしめてきて耳のあたりに顔をうずめた。
「河北さんが考えていたこと、お風呂でしましょうね」
 そう言われて肩が揺れた。
「もうおじさんには無理だよぉ」
「ふ、えっちなことを考えていたんですね。嬉しいな」
「あ」
 言わされた。
 利久にしてやられて彼の方へと向きなおれば、嬉しそうに笑っている。
「利久君」
「俺、幸せです」
「そうだね。奥さんを亡くして恋愛をすることはないだろうと思っていたけれど、利久君と共にいる未来が楽しみだよ」
 利久が河北のことをあきらめなかったから。その一途な思いが変えたのだ。
「俺も楽しみです」
「ありがとう利久君」
 手が触れて結ばれる。これから先もずっと……。