Short Story

Rapports Sexuels

 数時間後、帰ってきた関町は酒臭く、何処かで飲んできたようだ。
「あれぇ、龍之介さんの幻が見える」
 何がおかしいのか、ケタケタと声をあげて笑い始める関町に、
「酔っ払いめ」
 と冷たく言い放つ。
「え、本物?」
 すぐに笑いを収め、目を瞬かせる。
「どんだけ飲んできたんだよ、お前はっ」
「はいっ、生中を5杯程ですっ」
 酔いが一気に醒めたか、背筋をぴんと伸ばした。
「まったく、ずいぶん待たせやがって。話があるから中に入れろ」
「わかりました」
 慌ててポケットから鍵を取り出してドアを開く。
「どうぞ」
「あぁ」
 家主より先に上がり、キッチンへと向かう。そして冷蔵庫に料理とワインを入れた。
「長谷さんと食べたんじゃ……」
 後をついてキッチンへと入ってきた関町がそれを見て目をしばたたく。
「長谷さんと食べたんじゃ……」
「お前が居ないから余ったんだよ」
 もともと二人分しかないのに余るはずがない。そういう事には直ぐに気がつくようで、うそと呟き口に手を当てた。
「龍之介さん、すぐにここに来てくれたんですね」
 手を掴まれる。
「貴方の中に俺はいないと思って諦めようとしたけれど、どうしてもできなかった。ねぇ、俺は龍之介さんを好きでいて良いですか?」
 関町は自分の気持ちを真っ直ぐに伝え、逃げる事をしない。ひねくれている自分はそれを素直に受けとろうともせずに逃げていた。
「好きにしろ」
 関町のネクタイを掴み、引き寄せてキスをする。
「りゅっ、ん」
「口開けろ。もっとエロいキスしようぜ」
 閉じた唇を舌で舐めれば、口を開きかぶりついてくる。
 絡み合って意識がとろけだす。
 細い腰を支えるように腕が回る。
「お前の気持ちを俺にぶつけろよ」
「良いんですか」
「あぁ、しようぜ、大雅」
 下の名を呼んだ途端、勢いが激しくなる。
「ふ、んぁぁ……」
 苦しくて唇を少し開けば、容赦なく関町の舌が中へと入り込んできた。
 舌で翻弄され続けて次第に力が抜けてしまった龍之介を、口付から解放する。
「ベッドに」
 ベッドの中でね、と。そう囁かれて火をふきそうなくらいに熱くなる。
 寝室に連れていかれベッドの上に優しく寝かされ、手際よく脱がされていく。
 この身体を見て萎えないのだろうか。
 関町のように良い身体つきをしていない。細くて男としては頼りないだろう。
 だが、目の前の男は欲を含んだ目つきで舐めつくす。
「あまりみるな」
「ごめんなさい、それは無理です。ずっとこうしてみたいと思ってたんですから」
 掌が肌をゆっくりと撫でる。
「あっ」
「龍之介さん、綺麗です」
 関町の視線が、指が身体を熱くしていく。
「綺麗なんかじゃ」
「綺麗です。ここも、そしてここも」
 口筋に、鎖骨へと優しく口づけながら乳首を弄る。
「んぁ」
 自分はこんなにも敏感だったのかと思わされるくらいに触れられたところは感じてしまい、乳首がぷっくりとふくれてかたくなる。
「もう、こんなになって」
 両方の乳首をつままれ動かされる。
「は、おんなじゃ、ねぇし」
「でも、気持ちよさそうです」
 舌の先で突起した先をチロチロと舐めた後、口に含んで吸い上げる。
「ひぁ」
 ぴりぴりと快感がおしよせて胸を張りその刺激を味わう。
 気持ちいいけれどもどかしい。
 たちあがったモノからは蜜が流れ、まるで触れて欲しいとばかりに揺れる。
「誘ってます?」
 乳首から離れた唇が下へとキスの雨を降らせながら移動する。
「ふ、そうだよ、俺の竿は大物狙いだからな」
 おっさんくさい事を口にすれば、
「はは、じゃぁ、釣られないと、ですね」
 そう笑って、たちあがった箇所へと大きく口を開いて咥えた。
 根から先までゆっくりと舐めあげる真っ赤な舌が良く見える。扇情的で頭がくらくらとしてしまう。
「ん、良いっ」
 関町の視線は龍之介に向けられいる。反応を確かめながら緩急をつける。
「何処かしこも真っ赤で可愛いです」
 色っぽいよと舌で弄り、程なくそれを口で咥える。
「色っぽくなんて、あ、あぁっ」
 咥えられたモノはあっという間に絶頂を迎えてはじけてしまう。
 関町の中にはき出された欲は彼によって飲み干される。
 白濁で濡れた唇の端。ぺろりと舌がそれをさらう。その仕草が色っぽくて龍之介に更なる欲を煽る。
 それは関町も一緒なのか、ぎゅっと龍之介を抱きしめ後ろへと手を伸ばす。
「今度は此処を頂きます」
 と、指を濡らし後孔へと入り込む。
「んっ」
 ゆっくりと入り込む指。
 中を広げるように動きつつ龍之介の弱い所を探り、一本から二本へと増やされていく。
「龍之介さんの弱い所」
 ある一か所だけ、やたらとびくびくと反応する龍之介に、見つけたとばかりに関町が目を細め笑みを浮かべる。
「やぁ、そこばかり、しつけぇって」
 弱い所ばかり責められてそれだけで達してしまって。
 龍之介は真っ赤になって手で顔を覆い隠す。
 そんな龍之介の手をのけるように顔を近づけて口づけする。
「可愛い」
 と、龍之介の後から指を抜き、ズボンを脱ぐ。
 関町のモノを見た瞬間、ひくっと後孔が震える。
「こんなにひくつかせて」
 一点を見つめている龍之介に、くすっと笑う関町に、
「はっ、さっさとお前のぶっといやつ、ぶちこめよ」
 後孔がはしたなく関町を欲しがる、それが恥ずかしくてわざと乱暴にそういいはなつ。だが、それがかえって彼を煽ってしまったようだ。
「はい、ただいま。俺の形を覚えるまでやらせてもらいますね」
 龍之介の足を掴んで持ち上げて。関町のモノの先端が孔へと触れる。
「はぁ、まて、ひゃっ」
 今までに味わった事のない質量のモノが中へと入り込んでいく。
「んぁぁっ」
 根元まで入り込んだそれを関町はウットリと見つめている。
「深い所までつながりましたよ」
 心から嬉しそうな顔を見せるから。
 そんなに望んでくれていたのかと、龍之介の胸が熱くなる。
 自分だって望んでいた、関町とこうなることを。
「あぁ、そうだな」
 心から笑みが浮かんだ。そっと頬に関町の指が触れる。
「動きますね」
 と聞かれ、龍之介は頷く。
 動き始めた途端に、なんともいえぬ程の快感が襲う。
「あぁ、あぁぁぁっ」
 その動きに嬌声があがり体が善がる。
「龍之介さんの中、きもちいいですぅ」
 ふにゃふにゃと顔を緩ませて、幸せそうな彼をみたら、龍之介も嬉しくなって首に腕を絡ませてしがみ付いた。
「はぁ、たいが、もっと、きていいんだぞ?」
「はい、遠慮なくっ」
 その言葉のとおり、遠慮がなかった。激しく突き上げながら口づけをする。自分もそれを許したのだから、そのまま身を任せる。
「ふ、あぁぁっ」
 揺れる体に快楽の波が一気に襲う。口から、下から液を流して善がり嬌声をあげる。
「そろそろ……」
 絶頂を迎えそうなのか、関町が龍之介の中から抜け出ようとする。
「抜くな」
 関町のものを締め付けて、
「このまま俺の中に欲しい」
 と、関町の腕に縋りつく。
「良いんですか?」
「あぁ、搾り取ってやるよ」
 関町は嬉しそうに笑み、ちいさく声をもらし達する。
「――あぁぁっ」
 中に関町の放った熱いものを感じ、龍之介も達して欲をはき出した。
 あつい。
 溢れた欲は足元を流れ落ちる。
 それが龍之介の放った欲が混じりあい一つになる。
「ふっ」
 放った後の気だるさに、ベッドにだらりと横になれば。
 関町が龍之介を抱きよせて腕枕をしてくれる。
「ふふ、りゅうのすけさんとしちゃった」
「うわ……」
 若干、引き気味の龍之介に、酷いと胸に頬をすりよせた。
「ん、こらっ」
 散々いじられて敏感になっている箇所が疼き、放ったばかりのモノにじくっと欲をあたえる。
「関町、もうしねぇぞ」
「えぇ、っていうか、名前……」
「あぁん? バカ町の方が良いか」
「嫌です。龍之介さん、酷い」
 泣きまねをする関町の頭を包むように抱き寄せて、「またベッドの中でな」と耳元に囁いた。