甘える君は可愛い

年下ワンコはご主人様が好き

 何度も中を突かれて腹いっぱいになるくらい出され、もう無理だからと横になりたかったのに、今度は全身を舐められて欲をはき出した。
 体は鉛のように重く動かせない。
 唾液と精液まみれの身体をどうにかしたいがシャワーを浴びるのも億劫だ。なので久世に身体を拭かせることにした。
 程よい暖かさのタオルは気持ち良くて眠気を誘う。
 ウトウトとしてきた所に、まだ敏感な後ろに指が入り込み中を掻き出していく。
「んっ、そこはいいからっ」
 やめろとその手を払おうとするが、このままにしておくのは駄目だと言ってやめてくれない。
「翔真さん、すぐ済みますから。そんなにしめつけられると指だけじゃすまなくなるから、ね?」
 まだするつもりでいるのか、久世は。
「今日はもう付き合わないからなっ」
 流石に体力の限界だ。
「解ってます。なので掻き出し終わるまで待っていてください」
 そう額に口づけられ髪を撫でられる。
「生意気」
 聞き分けが良い久世が何故だかムカつく。
 抱きついてがぶっと肩に噛みついて痕をつけてやる。
「痛っ」
 噛まれた箇所を見て、くっきりですねと指でなぞる。
「ふふんっ。ほら、さっさとやれよ。でなければ一緒に寝てやらない」
「え、それは嫌です。急いでやりますから!!」
 それから身体を綺麗にし、
「翔真さん、これ着てください」
 と大きめな長袖のティーシャツを着せられた。
 それから、久世はシャワーをすばやく浴びてきて戻ってきて、相変わらずパンツ一枚という格好だ。
「お前さぁ、寝る時っていつもその恰好なの?」
 細いがガッチリとした胸板に頬をくっつければ、腕がまわり抱きしめられる。
「はい。楽なので」
「そう。お前の身体……、結構好き」
 腹筋を撫でれば、やめてくださいと言われて。
 顔を見れば真っ赤になって何かに耐える様な表情を浮かべていた。
「若いよな、お前は」
 波多の事をまだ欲しがる久世に、
「今日はもう付き合わないからな?」
 もう一度、久世にそう言い聞かせて胸に摺り寄る。
「しょ、翔真さぁん」
 わざとですよね、と、泣きそうな表情で見つめられ、口元に笑みを浮かべて何のことだと返す。
「ううっ」
 低く唸り声をあげる久世に、波多はそれを無視して目を閉じた。  

 声が枯れるまで鳴かされて、腰は怠くて最悪な状態。
 やりすぎて会社を休みますという訳にもいかず、久世に朝食の準備をさせている間にシャワーを浴びながら、鏡にうつる体には無数の鬱血の痕があり、それを見つめてため息をつく。
「つけすぎだよ」
 久世以外に身体を見せるつもりはないが、何かあった時は嫌だなと思いながらシャワーのコックをひねて止める。
 脱衣所で身体を拭いている所に、ドアの外から、
「しょーまさん、朝食の準備ができましたよ」
 と声を掛けてくる。
「わかった。あと少ししたら行くから」
「はい、待ってますね」
 濡れた髪を乾かし、一先ずは久世のジャージを借りて着替える。
 キッチンのテーブルに並べられているのはハムエッグとサラダ。そしてトーストだ。
 目玉焼きが焦げているが、まぁ食べられなくはないのでよしとする。
「着替えに戻るから。後で迎えに来い」
「わかりました。ねぇ、翔真さん」
「なんだ」
「俺の家にお引越ししてきません?」
「……引っ越しはしない。四六時中、お前と一緒は嫌だよ。一人になりたいときがあるからな」
「そんな、なら、この部屋、翔真さんの部屋にして良いですから」
 今は物置として使っている部屋を指さす。
「そうだな、その部屋に俺の荷物を少しだけ置かせてもらおうかな」
「え?」
「一緒には住まないが、泊まりにはいくから」
「はい。ならば此処の部屋、空けておきますね」
「別に荷物はそのままで良いぞ。元々あまりないし」
「翔真さん」
「こら、時間があまりないんだから。甘えるのは夜だけな」
 そう頬を撫でて離れる。
「はい」
 玄関に向かいドアノブを掴むと、久世がまた後でといって口づけをする。
「……バカ犬め」
 なんだ人の気持ちは簡単にかわるものだなと思う。
 今までなら鬱陶しいと叩いていた所だが、好きだと告げた途端に嬉しくなるのだから。
 お返しと頬に口づけをしてドアを開ける。
「えへへ、幸せですぅ」
 デレデレとしながら見送る久世に、
「ほら、早く準備をしろ」
 とパンと手をうち、急ぐようにいう。
「はいっ!」
「また後で」
 そう手を振り外へと出る。
 こちらも急がないと部屋に行きつく前に久世が迎えに来てしまいそうだ。
 それはそれでかまわない。そう思える程に自分はこの恋愛を楽しんでいる。久世と一緒に歩く道を。